okage-sama日記

聴覚障害のある和尚のブログ

人工内耳 手術のリスクについて

注意すべき合併症と危険性 

 2019年1月11日に、残存聴力活用型人工内耳(メドエルEAS人工内耳システム)の埋め込み手術を受けました。一ヶ月が経ち、15日に最初の音入れがあります。

 前回のブログに、手術を検討するに当たり一番心配したのは、残存聴力がどの程度落ちてしまうかという点だった、という記事を書きました。今回は、この手術にどのようなリスクがあるかをまとめてみます。秋田大学医学部付属病院で術前にいただいた用紙には以下の記載があります。

 

注意すべき合併症(一般に生じやすいものと、今回特に注意すべきもの)と危険性

出血:術後に出血が続く場合、再手術で止血しなければならないことがあります。

感染:術後の傷に感染すると、まれに感染のため人工内耳を摘出せざるを得ないことがあります。

疼痛:術後の傷が痛むときは鎮痛剤を使用します。

顔面神経麻痺:顔を動かす神経の近くを削るので神経損傷に注意して手術をする必要があります。麻痺が出現した場合、ステロイドなどを使用することで治療します。

顔面けいれん:電極の刺激が顔面神経に及ぶことでけいれんがおこることがあります。人工内耳の調整で対応可能です。

めまい:内耳に穴を開けて電極を挿入するため術後めまいが起こることがあります。時間経過とともに改善してきます。

髄液漏出:内耳に穴を開けた際に髄液が漏出してきた場合、電極を入れた後に髄液をとめる処置をします。

味覚障害:中耳には味覚をつかさどる神経が走行しており可能な限り温存しますがまれにやむを得ず切断することがあります。手術側の味覚が鈍くなりますが、時間経過と共に改善します。

頭蓋底損傷:骨を削っている最中に頭蓋内につながることがあります。

人工内耳の不具合:人工内耳がうまく動かなくなった場合、交換します。

人工内耳の露出:人の体には異物を排出する働きがあるため人工内耳が次第に露出してくることがあります。

人工内耳の挿入困難:通常電極は問題なく入りますが、まれに入らないことがあります。

 

 他の方のブログを見ると、「これは*%程度」といった感じで、より具体的に説明されるケースもあるようですが、私の場合は、「これらはあくまでも可能性であって、極めて稀なことです。心配しなくて大丈夫です。」とのことでした。

 聞くところによると、秋大病院では月に一人くらいのペースで人工内耳手術があるそうです。検査技師の方は「私が赴任してから、術後に人工内耳を摘出したケースは一件。手術・機器の信頼性は極めて高いと思いますよ。」と話していました。

 過去に、父や姉の手術・治療の説明を聞いたり同意をしたりという経験があったため、リスクの説明を聞いて怖くなるといったことはありませんでした。「なるようにしかならないのだから、信頼してお任せします。」という心境です。手術台の上で自分にできることはなく、「まな板の上の鯉」状態ですから、疑うより信じた方が気が楽というものです。

 幸い、術後から現在まで、上に書いたような症状はありません。

 私はスキンヘッドなので、髪の緩衝がなく、皮膚をはさんでマグネットとインプラントが密着する形になります。インプラントは予想以上に浅い場所にあり、触ってみると間に薄い皮膚があるだけです。マグネットの強度に気をつけないと、最初は皮膚がこすれて傷になりそうな気がします。そのうち皮膚が鍛えられて直るのでしょうが。

 

 次は、入院から退院までのことについて書く予定です。