okage-sama日記

聴覚障害のある和尚のブログ

残存聴力活用型人工内耳 メドエルEAS人工内耳システム   術前の迷い

手術に対しての迷い

手術するかに迷う

 この手術の存在を知ったのは、2016年の春ごろだったと記憶しています。当時私は、岩手県奥州市正法寺で修行生活を送っており、老師から「東京の三田病院によい先生がいるようだから、いつか行ってみたら」とHPのコピーをいただきました。

 その後、2016年の夏に秋田へと戻り、現在まで秋田大学医学部付属病院でお世話になっています。2016年の秋、一度三田病院で手術の話を聞いてみたいと思い、主治医に相談したところ、快く紹介状を書いてくださいました。

 国際医療福祉大学三田病院の岩崎先生は、多くの手術実績を有するこの分野のスペシャリストです。いわゆる「名医」であることは間違いないように思われました。しかし一方で、私がリスク等の質問することに対し、「やる前からそんな心配はしなくていい」と受け流し、「私は忙しい」と診療を打ち切る態度にかなりの不快感を抱きました。偶然にも、その場に秋田に縁のある看護師さんがいて、別室で私の不安や質問に丁寧に応じてくださったので、手術についていろいろ考える材料になりました。

 術前に私が悩んだのは、①手術のリスク、②どの病院で受けるか、ということです。

 ①については、「残存している聴力が、手術によってどの程度失われるか」という点が最も心配でした。言葉の聞き取りには不自由しても、声や音がまったく聞こえないわけではありません。長男・長女と話しているとき、話している内容はよくわからなくても、「元気がないな」とか「楽しそうだな」とか、声の感じはわかります。もし残存聴力を大きく失えば、声そのものが聞こえなくなってしまう可能性があります。たとえ人工内耳で聞こえるようになっても、今まで聞こえていた子どもの声が聞こえなくなるということは、私には重大なことに思われました。

 残存聴力をどの程度失うかについては、主治医も岩崎先生も、説明では全く触れません。個人差があるためやむを得ないと思いますが、質問しても具体的な答えはいただけませんでした。ネットで、「術前の聴力より30%程度聞こえなくなった感じ」という旨の記載を見つけ、「3割減」をどう考えるか非常に悩みました。

 2年ほど悩んでいたら、左右の聴力が急墜してしまいました。仕事への支障が大きすぎて、悩むも何も「手術するしかない」という結論になりました。

秋大病院か三田病院かに悩む

 ②については、秋大病院か三田病院かの二択でした。「手術は腕のよい医師に」と三田病院を進める人が圧倒的に多かったのですが、結果的に秋大病院に決めました。術後の音入れ・マッピングに通いやすいこと、医師の人柄も考慮しましたが、「秋田県でやったほうが誰かの役に立てそうだ」というのが一番の決め手でした。

 秋大病院の先生が経験を積む材料になれますし、今後秋田で同様の手術を受ける患者さんの役に立てるかも知れません。「献体」と言えば大袈裟ですが、自分が到った状況を少しでも次の人のために活かせたら、仮にうまくいかなくても、そこに意味を見いだせる気がしました。

 

 今回は、私が悩んだことについて書いてみました。

 次は、この手術のリスクについて、医師の説明を元に書いてみたいと思います。